光に抗う言葉、二度 ― ディラン・トマスの庭に舞い降りたカラス

CAWファンの一人が辿った“ディラン・トマスの穴”は、誰も予想しない場所に繋がっていました。❶ 二度捧げられた一節:2019年9月28日、イーロン・マスクは建設中のStarshipの写真とともに「Rage, rage against the dying of the light(光の消えゆくのに抗え、激しく抗え)」と投稿しました。ウェールズの詩人ディラン・トマスが1951年に書いた詩「Do Not Go Gentle Into That Good Night」の核心の一節です。2020年5月1日にも同じフレーズに戻り、「the dying of the light of consciousness(意識という光の消えゆくのに)」と変奏しています。一度きりの引用ではありません――同じ詩人の同じ一節を、約7ヶ月の間を空けて二度。❷ 検索がたどり着いた場所:この糸をたぐってトマスの伝記を調べていたある読者(X: @Mabo2parody)は、生家(5 Cwmdonkin Drive)のすぐ近くに、スウォンジーのCwmdonkin Parkという公園があることを知ります(少年時代のトマスが入り浸った公園です。資料が言えるのは「近い」までで、通りを挟んで真向かい、とまでは書かれていません)。公園名で検索すると、独立系出版社Fairlight Booksが公開した短編小説がヒットしました――ウェンディ・ホルボロウ作「Crows Caw in Cwmdonkin Park」。そのタイトルの中に、見慣れた3文字――C・A・W――が座っていました。──ここまでのひとつひとつは、確かに事実です。二つのツイート、生家の住所、公園の実在、短編小説の存在と公開日(2017年7月5日。Fairlight Books のページのメタデータによる)――すべて検証できます。ただ、一歩踏み込むと崩れる部分もあります。「Cwmdonkin」という地名にカラスとの語源的なつながりを示す記録は見当たらず(“donkin”は人名由来の限定詞と読むのが妥当です)、この短編小説はトマス本人の作品ではなく2017年に別の作家が捧げたオマージュ作ですが、「crows caw(カラスが鳴く)」の表現はcawファンには興味深く映ります。そして、実際に起きたことは消えません――誰かが、追う義理もない一人の詩人をとことん追いかけ、見知らぬ誰かのタイトルの中に、見慣れたCAWの文字を見つけてしまった。その瞬間の「衝撃」は、ここにいる誰もが覚えのある感情のはずです・・・。これは何かの決定的な証拠ではないかもしれません。けれど、このコミュニティの目が、1951年の詩や2017年の短編小説――誰も探していなかった場所にまで届いていることの、素敵な証明でもあります🐦⬛